メガバンク新卒採用の大幅削減に思う、AIの台頭とこれからの労働・収入について

メガバンクの新卒採用が3割ほど削減されるという記事がヤフーニュースに上がっていました。
時代背景を考えると、銀行業はいつか大きくその存在意義が問われるだろうと考えていたので、その始まりのような気がしてなりません。
そしてこれは、銀行だけでなく、これからの働き方、収入を得る方法のモデルが大きく変わる事を予想させる出来事だったので、今回はこのニュースから思う事を書いてみます。

メガバンクの新卒採用削減の実情

Wikipediaによると、「メガバンクあるいは巨大銀行(きょだいぎんこう)とは、預金残高が極めて莫大な都市銀行のことである。」と記されています。
そして、日本の3大メガバンクは以下の3銀行となっています。
 三菱UFJフィナンシャルグループ
 みずほフィナンシャルグループ
 三井住友フィナンシャルグループ

新卒採用削減の対象人数は?

各銀行における、今回の採用削減の対象人数は次のようになっています。

 三菱UFJ  約100人
 みずほ  約700人
 三井住友 約160人
*グループ全体での人数
 三菱は1割減、みずほは5割減、三井住友は2割減

3大メガバンク全体で考えると1000人近い採用枠の削減という事ですね。
更に、今までもこれからも、現役社員に対する人員削減も行われることになるので、影響は非常に大きいと思います。

削減理由は?

今はどの会社も労働者不足で、就職市場は売り手市場であると耳にします。
そんな中のこのニュースには少し違和感を覚えますね。
これについて、一般的に言われている事と、私が個人的に思う事をまとめてみます。

まずは、低金利時代に入り、銀行というビジネスモデルのコアとなる金利収入が取れなくなってきているという事による収入力の低下があげられます。
銀行は一般預金者からお金を集め、事業者に課して利息を得ることで金利収入を得ています。
しかし、ずいぶん前から日本はデフレ経済で低金利が続いており、利益確保が難しくなっていることが想像できます。
また、今ではITが一般化し、そもそも企業にかかる初期投資が少なくなっていたり、資金調達の方法も多様化しており、銀行の存在意義が薄れているとも感じます。
特に、資金調達においては、クラウドファインディングをはじめとする、一般投資家から資金を調達する事がかなり容易になっています。
まあ、これはあくまでも小規模起業家などが対象となるため、メガバンクは元から対象外かもしれません。

次に、なんといってもAI時代への突入が大きな理由として上げられます。
私としても、このニュースはAI時代の序章がついに始まったか、というような思いで見ていました。
銀行は長らく、AIにとってかわられる代表的な業態として挙げられていました。

少し余談になりますが、10数年ほど前から、インターネットバンキングというものが徐々に浸透しており、今では一般預金者がメガバンクを使用する理由をちゃんと説明するほうが難しい状況になっています。
私も、メガバンク、地方銀行、ネット銀行と口座を持っていますが、一番使い勝手が良く、コストもかからないのは間違いなくネット銀行です。

要するに、何が言いたいかというと、銀行という業態は、ちゃんとしたシステムがあれば、実は人の手をそれほど必要としていないという事がわかっているのです。
AIの発達によって、実際に人員を削減できるところまでシステムの簡素化、効率化が可能となったというのが、このニュースの本質だと思います。

前述の収入構造の悪化については、日本独自の環境もありますが、AIの発達については世界中で同時に起こることが考えられるので、この流れは変わらないものだと思います。

AIが仕事を奪う?


今後無くなる仕事、というと誰もが少しは耳にしたことがあると思います。
機械に仕事が奪われる、という言葉も、ITやAIの発達により、ここ10年ほどで非常によく聞くようになったフレーズです。
このフレーズで検索すれば、いくらでもヒットしますよね。
今回の銀行の人員削減の件も、社会がこの波に飲み込まれ始めたと捉えている人が大半です。
それでは、それらが意味することはいったい何なのか考えてみます。

徹底的な効率化が実現する世界

AIという、瞬時にビックデータに基づいた判断を下せるシステムがあることによって、世の中の仕組みは徹底的に効率的に変わっていきます。
今まで、人間が考えることによって生じていた無駄が無くなります。
簡単に言えば、まずは人間特有のうっかりミスや、伝達ミスがありません。
そして判断基準がぶれることもありません。
銀行で言えば、窓口業務や、融資担当者の判断なども不要になります。(既にネット銀行には窓口も通帳もありません)

AIに置き換わる仕事

単純作業や、マニュアル通りに対応する作業などは、AI導入コストが現在の人件費を下回った段階で一気に置き換わると思います。
単純なデータ集計作業、マニュアルに沿った対応が必要な作業(コールセンターやレジ係、お役所仕事、乗り物の自動運転など)ですね。
今世の中で「不便だなあ」と感じている多くのところが改善されると思います。

次に、個別判断は必要ですが、それが蓄積されたデータから判断可能されるものもAIの方が得意です。
多くのサラリーマンはこれに該当するのではないでしょうか?
セールスマンやショップの販売員などもそうですね。
下手に人間の感情でやるよりも、過去の膨大なデータから、成功確率の高い方法を導き出すAIの方が効率は高いです。
それでも、こういった仕事はAIの導入コストが高いことが予想されることと、なんだかんだビジネスの基本は人と人のつながりで成り立っていることが多いことから、急に変わることはないと思います。
しかしこの価値観も、世代の循環と共に、徐々にサービスの内容重視に変わっていく気がしています。

それは幸福か不幸か?

そもそも、IT化の流れによって世の中はずいぶん効率的になりました。
インターネットの1クリックで最安の商品が翌日には家に届くなんて、20年前には考えられませんでしたが、既にずいぶん前から実現しています。
仕事がなくなるのはこのIT革命による効率化の延長にあり、AIが出来たから、と一言で片づけるわけにはいかないと思います。

そして大事なことは、AIがもたらす効率的な世界というのは、とても良い世界だという認識を前提に持つことです。
誰もが無駄だと思う業務を、人間がやらなくて済むようになるのです。
それが無駄かどうか、という判断は結局人がするのですが、それは今現在だけの判断ではなく、最終的な判断です。
産業革命で多くの労働者が仕事を無くしましたが、それでは今の時代のその頃と同じ労働をやりたいかと問うと、多くの方はNOと答えるでしょう。

例えば、スーパーでレジを通らずに自由に商品を持ち出せる世の中になれば、誰の目から見ても便利です。
しかし、レジ係の人の仕事はなくなります。
アルバイトや社員の収入を得る機会がなくなるわけです。
先ほどの1クリックで商品を購入できる仕組みが出来たおかげで、町の電気屋さんが無くなったかもしれませんし、どこかでサラリーマンがリストラされたかもしれません。

つまり、AIの台頭は、単純な幸福と不幸では分けられないという事です。
AIが発達する事は、確実に世の中の仕組みを良くしますが、それで競争に負ける人も出てきます。
そういったことも踏まえて、どう世の中が良くなるのか、という事を考えなければいけません。
逆に言えば、自分はその世の中で競争力をもって働けるのかどうか、という事を考えなければいけません。

これからの労働と収入に関する考え方

産業革命後にも新たな産業が生まれていることから、今後も仕事がなくなるという事はないと思います。
しかし、より効率化された世界では、今の資本家と労働者の2極化はより進んでいくことが考えられます。
もう単純労働では収入を得られなくなるわけですからね。
肉体を使った単純労働というのは結構残る気がしますが。

避けられないグローバル社会


AIの台頭とともに避けられないのが、社会のグローバル化です。
グローバル社会というと聞こえは良いし、今後世界で活躍する日本人をイメージする方も多いと思います。
ある意味ではそれは真実で、世界的にみると発展途上国のマーケットはまだまだ魅力的で、海外市場に参入して大きな利益を上げるという事も可能です。

しかし、グローバル競争では日本は追われる身であることも考えなければいけません。
まず何といっても勝てないのが、賃金格差です。
今でも世界中では日本人の一般的な年収の半分や、1/3ほどの収入があれば十分暮らしていける人々が沢山います。
そして、これだけインターネットやAIが進歩した時代になれば、情報はどこでも得ることが出来ますし、教育を受けることも簡単になります。
なので、今後はこの収入格差に対して、能力の差がどんどん無くなってくることが予想できます。
そうなった時に、市場で競争力を持っているのは、当然コストのかからない方なので、そもそも日本はコスト面で非常に不利な戦いをしなければいけません。
品質に大きな差がある間は良いですが、日本の高度経済成長のようなことが、今の後進国で起こるようなことも十分想像できます。
そうなった時に削られる可能性が高いのは、人件費です。
既に派遣やパート社員、海外委託など、様々な形での人件費のカットは行われていますね。

以上から、完全なグローバル社会になった場合、同じ能力の個人の収入が平準化されると仮定すると、一般的な日本人の給料は間違いなく下がります。
資本主義は競争社会なので、給料が下がるのが嫌であれば、その市場で競争力をつけるしかありません。
考えると非常に怖いですね。

自分にしかできないことは何か


非常に厳しい内容となってしまいましたが、最後に考え方を変えて、今後の労働に対して考えたいと思います。
AIによる効率化、グローバル社会による競争の激化が起こる一方で、今ぐんぐんと伸びている新しい労働の形態があります。
それが情報の発信です。

ここ最近で最も注目されているのがYouTubeをはじめとする動画投稿による収益ですね。
正確には動画に張り付けた広告からの広告収入ですが。
普通の人では知らないこと、体験できないこと、興味をそそられる事を動画という形にして発信しているのです。
これまでも、有名なところで言えばテレビメディア、そしてマイナーでは個人のブログや情報商材などがありましたが、一般の人で、かつ若年層が主体となって、ここまで大きく世間に浸透したことは無いのではないかと思います。
また、得ている収入も半端なものではありません。
充分に生活していける額を得ているのです。

これは今までの商品販売などの現物主義から、IT化の流れを経て、「情報」そのものに価値があり、「情報発信」することが労働になり収益を生むという事の完成形のような気がします。
そして、そこにある労働は、単純労働やマニュアルとは違う、その人ならではの経験や考え方などを共有するという、新しい考え方です。

以上を踏まえると、今後のAI普及、グローバル社会化が進む世の中において大事なことは、今までの働き方を続けるにしろ、新しい働き方を模索するにしろ、自分にしかできないことは何か、という事を考える必要がありそうです。
私は、今のところ、早々にAIに仕事を奪われることはないと思っているので、この競争の激しい世の中を、サラリーマンとして出来る限り頑張ってみようと思います。

岸ユメジ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です